ひとくちコラム vol.35

ソナチネ ト長調 Anh.5/ベートーヴェン

収載巻:レパートリーコレクションズⅡ

PSTA指導スタッフ 渚 智佳

ふたつの楽章ともにシンプルな三部形式で、親しみやすく素朴な旋律を持つ大変馴染みのあるソナチネですが、実はベートーヴェンのオリジナルの作品かどうかがはっきり分かっていないのです。
とはいえ、ピアノを学ぶ子どもたちにとっては、これが初めて弾く「ベートーヴェンの曲」となることも多いのではないでしょうか。

では、ベートーヴェンとはどんな人物だったのか…。
肖像画に見られるような近寄りがたい強面のイメージか、はたまた「エリーゼのために」に聴かれるような優しく傷つきやすい繊細なイメージでしょうか。
彼の音楽には、難聴という過酷な運命にも打ち勝とうとする強靭な精神と、一方では、穏やかで善良な、時に戯れや茶目っ気たっぷりな一面も垣間見えます。

酒浸りの父親に代わり、青年時代から一家の家計を支えた苦労人ベートーヴェンは、生まれ故郷ボンからウィーンへ出て、貴族の師弟のレッスンや作品出版によって生計を立てるようになります。
それまでの宮廷お抱えの音楽家から脱却し、新時代の音楽家の在り方を切り拓いたベートーヴェン。
「より美しいもののためなら、どんな規制も破り得る」という彼の言葉どおり、「運命」における主題労作、「田園」における標題音楽の先取り、ソナタにおけるスケルツォの導入とさらなる形式の自由化など、それまでの常識を打ち破った彼の作曲技法は、後世の作曲家たちに引き継がれていきました。

王政への反発と市民社会の台頭という時代の大転換期、自由を求める信念のもと果敢に渡っていったベートーヴェン。彼の生き方とその時代に思いを馳せてみては…?

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