ひとくちコラム vol.25

叙情的ワルツ(7つの人形の踊り Op.91cより)/ショスタコーヴィチ

収載巻:レパートリーコレクションズⅢ

PSTA指導スタッフ 持田 正樹

ショスタコーヴィチと言えば、20世紀を代表する作曲家の一人と言われている。1917年のロシア革命、スターリン独裁政権下に受けた批判、1945年に終結した第二次世界大戦など、その緊迫した激動の時代を生き抜いたソビエトの作曲家である。
彼の作品には、その時代を生きたからこそ生まれた究極の人間ドラマが息づいている。そんなシリアスな作品の一方で、彼はジャズを取り入れたり、多くの映画音楽も作っている。そして、娘のために『6つのピアノ小品』『人形の舞曲』など、息子マキシムにはモスクワ音楽院在学中にデビューコンサートで演奏するための『ピアノ協奏曲第2番』も作曲している。
また、彼自身優れたピアニストとして、第1回ショパン国際ピアノコンクールに入賞していて、現在でも残された彼の演奏録音からはその繊細な表現力を垣間見ることができる。
1962年と1966年にはチャイコフスキー国際コンクールの組織委員長も務めた。
彼の音楽家としてのイメージからは想像もできないが、実は大のサッカーファンでもあった。作曲家として駆け出しのころ、映画音楽でギャラが入ると、彼はピアノとサッカーボールを買ったそうだ。すでに作曲家としての名は出ていたが、近所の子供たちに交じり(子供よりはるか年上なのに・・)サッカーを楽しんでいたという。決して運動神経が良いとは言えなかったが、プレイを心から楽しみ、のちにはサッカーゲームの観戦に通い続けた。サッカー選手の個人成績を細かく書き込み、そこには活動量、実力、成功度、各選手のゴール数だけではなく、そのゴールの質も分かるようなサッカー台帳を作っていたという。そして、ついに彼はサッカーの審判の資格まで取ってしまったというから面白い。

社会主義体制の中で、抑圧・批判されながらも音楽家として生き抜けたのは、そんな彼の熱狂的なサッカー熱のお蔭かもしれませんね。
悲観的で荘厳な彼の作品に現れるユーモラスで風刺的な面も、実はそんなところからくるのかもしれないと想像してしまいます。

レパートリーコレクションズの販売店一覧はこちらから

レパートリーコレクションズをご購入いただけるお店をご紹介しています。
お店によって取扱いの無い場合や品切れの場合もございますので、ご来店される前に各店舗にお問い合わせいただくことをおすすめします。