ひとくちコラム vol.24

夏のあらし | 森のざわめき/ギロック

収載巻:レパートリーコレクションズⅡ

PSTA指導スタッフ 海川 千史

ウィリアム・ギロック(William L. Gillock、1917年〜1993年)はアメリカ合衆国の音楽教育家です。
音楽好きな家庭に育ち、幼い頃より自己流でピアノを弾いていたようです。大学は美術コースに通っていましたが、音楽を本格的に勉強し、24歳で子供向けのピアノ曲を初めて出版しました。
26歳でニューオーリンズに移り住み、広告代理店に勤めたあと、テレビやラジオ番組のピアノ伴奏で活躍しました。31歳でピアノ教師になり、40歳頃から作曲活動を活発にするようになります。
クラシックの作曲家、ピアニストとはやや異質な経歴ですが、音楽を愛し子供たちの教育に熱心であったギロックの思いは、われわれを導いてくれるでしょう。

叙情小曲集の原題は「ロマン派様式による叙情的前奏曲集」で、副題は「すべての調における24のピアノ小曲集」です。
芸術作品としてはショパンやスクリャービンが全調で前奏曲を作曲しましたが、ギロックの作曲の意図は明確で、ピアノ学習者がロマン派の作品を弾くための準備的な教材と明記してあります。

「第1番 森のざわめき ハ長調」にはフォルテがありません。弱音の中でいろいろな風景や思いを音にするように、きめ細かな神経とテクニックの柔軟性を養いましょう。
一転して「第8番 夏のあらし イ短調」では強靭なフォルテがありとても激しい表情があります。ピアノの音の豊かさを実感できる曲です。
音楽記号は一般的にはイタリア語を使いますが、ギロックはほとんどを母国語の英語を使いました。子供たちにわかりやすい配慮をしたのでしょう。

叙情小曲集はギロック本人が改訂版を出版しています。クラシックの大作曲家たちも改訂版を出しましたが、初版で演奏されることもしばしばあります。2つの版を比べてみるのも面白いと思いますよ。

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