ひとくちコラム vol.22

ソナチネ ハ長調 Op.36-1 第1楽章/クレメンティ

収載巻:レパートリーコレクションズⅠ

PSTA指導スタッフ 持田 正樹

ソナチネの中でもピアノ学習者に最も親しまれていると言える、クレメンティのソナチネOp.36-1。
クレメンティ=ソナチネとイメージされるかもしれませんが、なんと彼はピアノソナタを100曲近くも書いているのです。
ベートーヴェンはそれらのピアノ曲を、モーツァルトの作品よりもピアニスティックで素晴らしいと評価していたようです。

作曲家、ピアニスト、教育者として成功していたクレメンティは、実業家としても活躍、ピアノ製造や楽譜出版の経営にも業績を残しています。出版業に関しては、版権獲得を目的とした作曲家たちに直接交渉をしています。
彼はベートーヴェンの作品「ピアノ協奏曲第4番」「ラズモフスキー四重奏曲」「交響曲第5番」「ヴァイオリン協奏曲」などの版権を獲得していることから、かなりの交渉術を持っていたと思われます。

クレメンティは、ピアノ演奏においてもかなりの腕前を持っていたようです。
ここで有名なエピソードを紹介しましょう。
ウィーンの王宮、皇帝ヨーゼフ2世の前でクレメンティとモーツァルトは競演したことがあります。クレメンティは自身のソナタOp.47-2を、モーツァルトは何かの変奏曲を弾きました。
モーツァルトはお父さん宛の手紙の中でクレメンティの演奏について、「巧みな指さばきで達者に演奏するけど感情がなく機械的」「いかさま師のよう」とライバル意識むき出しの酷評をしていますが、それとは対照的に、クレメンティはモーツァルトに対して、「今まであれほど魂のこもった優美な演奏を聴いたことがない」と語ったそうです。
その競演の10年後、モーツァルトは「魔笛」を作曲。その魔笛の序曲がクレメンティのソナタOp.47-2第1楽章にそっくりなのです。はたしてこれは盗作なのか!?
みなさん、クレメンティのソナタを聴いてどうぞ判断してみて下さい!

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