アーティストインタビュー “緒方 英子”

映像ならではの、奏者の生き生きとした息遣いを感じて欲しいですね。

「知ってるようで知らない オーケストラ楽器おもしろ雑学事典」著者 緒方 英子 インタビュー

今回の講座は、私たちPSTAが、緒方さんの著書「知ってるようで知らない オーケストラ楽器おもしろ雑学事典」に出会ったことから始まりました。その興味深い内容を是非皆さんにもお伝えしたいと思い、緒方さんに全体構成をお願いして完成したのがこの講座です。今回は、緒方さんに本を書いたきっかけや講座に対する想いについてお聞きしました。

サクソフォンに魅せられた学生時代

5歳の頃からピアノを習っていましたが、その後吹奏楽部でホルンを吹いていた姉に影響を受けて、中学入学と同時に吹奏楽部に入りサクソフォンを始めました。とにかく部活動が軸になって生活がまわっていましたので、サクソフォンが私の青春そのものでしたね。高校生になると、専門の先生について個人指導を受けるようになり、さらに突き詰めたくて芸大でサクソフォンを専攻しました。

そのうちにサクソフォンの研究の道に進みたいと思うようになって、作曲と音楽学が同時に学べるフェリス女学院大学の楽理学科に学士入学しました。何しろ開拓されていない分野で、作品についても、解説書であるとか歴史であるとかそういった資料が非常に少ないんです。もともと学究肌でもあったのでしょうか、知りたいという気持ちがどんどん強くなっていきまして、大学院に進学し研究を続けました。またその頃からサクソフォン以外の作品についてもCDやコンサートの解説の依頼を受けるようになり、その流れで卒業後は、フリーライターとして活動するようになったんです。

著書「知ってるようで知らない オーケストラ楽器おもしろ雑学事典」

大学時代など、舞台の上では普段とは別人になる演奏家が私の周りにたくさんいたことが、この本を書いたきっかけでした。例えば、ステージ上ではすごくスマートでかっこよく輝いているオーボエ奏者が、普段はリードを削るという地道な作業に長い時間を費やして大変な努力をしているとか、そんな人間っぽい、ステージの上の姿からでは計り知れない部分を持ってる演奏家がたくさんいます。そういう部分を知って演奏会に行くと、また違う聴き方が出来て、新たな楽しみが生まれるものですから、この本が楽器への興味の入口になればと思っています。

今回の番組構成について

今回はその「知ってるようで知らない オーケストラ楽器おもしろ雑学事典」にそった番組を作りたいということでお話をいただいたわけですが、私が番組に出て話すよりも、実際にエキスパートである奏者の方に出演してもらい、見ている皆さんには是非音を聴いていただきたいと思ったので、番組構成という形でお手伝いさせていただくことになりました。奏者の方に出演してもらうといっても、ただ演奏をしてカメラの前で解説してもらうだけでは見ている方との距離感があると感じたので、その方の人間性が垣間見えるようなドキュメンタリータッチな要素を加えたりして演出面では色々と工夫しました。

ピアノの先生には、管楽器奏者の呼吸、息遣いを感じて欲しいですね。管楽器における呼吸というのは、しっかりできないとよい音が鳴らないほど重要なわけですが、ピアノの場合はというと、ややもすると呼吸を気にしなくても音は鳴ってくれる。もちろん皆さん気に留めていらっしゃるでしょうけれども、改めて考える機会になればと思います。それから、音色感。管楽器奏者がどんな風にしてその音色を作り出しているのかを知ることで、ピアニストとして音のパレットを広げていってもらえたら嬉しいですね。

私は「知ってるようで知らない オーケストラ楽器おもしろ雑学事典」を書くにあたって、楽器が平面的でなく立体的に見えてくるような作りにしたいと考えていました。本を書く時ですらそうですから、映像が加わる今回はさらにそれを推し進めたいという気持ちが強かったですね。楽器と演奏家にとことん密着した、映像ならではの生き生きとした息遣いや、体温が感じられるような知識を吸収できる内容になっていますので是非ご覧ください。

「知ってるようで知らない オーケストラ楽器おもしろ雑学事典」

現場の声がいっぱい詰まった、新しい楽器本が登場!N響をはじめとする楽器のプロに徹底取材しました。今まで知らなかったおなじみの楽器や演奏家の意外な素顔が発見できます。楽器を演奏する人も、聴くだけの人も楽しめる1冊です。

緒方英子

東京生まれ。東京藝術大学音楽学部器楽科、およびフェリス女学院大学音楽学部楽理学科・大学院音楽研究科で学び、サクソフォンに関する研究および、作曲を行なう。在学中より音楽誌の取材、インタビュー記事を執筆。新聞、インターネットマガジン等に連載多数。著書に『<カラー図解>楽器のしくみ』(日本実業出版社)、『オーケストラ楽器おもしろ雑学事典』(ヤマハミュージックメディア)、『200CD吹奏楽名曲・名演〜魅惑のブラバン』(立風書房・共著)がある。